ダライ・ラマの『中論』講義

ダライ・ラマの『中論』講義

ダライ・ラマの『中論』講義 ―第18・24・26章

ダライ・ラマ14世テンジン・ギャツォ著 /マリア・リンチェン訳

四六判
256頁
税込2,700円
本体2,500円
978-4-8043-3070-9
2010.05

日本の仏教で古来、最も重要視され、学ばれ続けてきた、大乗仏教最高峰の論書の一つ『中論』―。その事情はチベットでも同じで、釈尊の弟子であり、ナーガールジュナ(龍樹)の弟子であるという強い自覚を持つ法王にとって、その龍樹の代表作である『中論』は、最も大切にし、かつ自らの拠り所としているテキストである。
 しかし、その内容の難解さゆえ、日本でも初心者の理解できる入門書が出版されてきたとは言いがたい。本書は、深遠な内容をわかりやすい日本語で解説した、仏教思想を本気で学びたいと願う読者にとって待望の書である。

【本書より】
 あなた方の中にも、空とは何もないことなのだと考えている人がたくさんいるようです。一般的には、空という言葉だけを知っていて、しかしその意味は知らず、ふつうの会話の中で、「大丈夫、空なのだから」などと言っているようですが、これはまったく大きな誤解です。
 よく考えてみるならば、「空である」と言われた時には、「あるのだ」と理解しなければなりません。何故ならば、「空である」とは、「その自性が空である」という意味なのであり、「自性が空である」とは、何かがあって、その自性が空なのだということを意味しているからです。何もないものの自性が空であると言うことはできません。ですから、「空である」と言われたなら、「何かが存在する」と理解するべきなのです。