虚構ゆえの真実

虚構ゆえの真実

虚構ゆえの真実 ―新中国禅宗史

ジョン・R・マクレー著  /小川 隆解説

A5判
312頁
税込4,860円
本体4,500円
978-4-8043-0582-0
2012.05

不立文字、教外別伝の禅の系譜。それは、むろん史実ではない。だが、著者ジョン・マクレー教授はいう――「事実ではない、それゆえに、より重要である」。さまざまな伝説と系譜を創作し、それを伝承することで、禅は、誰に、何を伝えようとしていたのか? 原典資料の精緻な分析と先行研究に対する鋭い批評によって、禅の歴史の活きた真実を読み取る、躍動的な中国禅宗通史。
話題の書、“Seeing through Zen”、待望の日本語版。巻頭に詳細な日本語版解説(小川隆)を附す。

【禅研究におけるマクレーの法則】

1.事実ではない、それゆえに、より重要である。
2.法系の主張は、それが強力であればあるほど、真実から離れている。
3.記述の詳細さは、不明確さを意味する。
4.ロマン主義は、シニシズムを生み育てる。

【主要目次】

 破家散宅の書―“Seeing through Zen”日本語版解説[小川 隆]
 禅研究におけるマクレーの法則

第1章 法系を見る―禅仏教についての新しい視座
 禅の法系図の脱構築/「ひとつながりの真珠」の錯誤を回避する/試験的な方策―禅の年代的
 段階

第2章 発端―菩提達摩と東山法門を区別しつつ接続する
 展開する菩提達摩の聖人伝説/原始禅と『二入四行論』/弘忍と東山法門/原始禅から首都禅
 へ―『修心要論』/インド仏教と中国仏教の両極性

第3章 首都禅―朝廷の外護と禅のスタイル
 中国の帝都における禅ブーム/神会の「北宗」攻撃/牛頭禅―分派の危機の解消/初期禅のク
 ライマックス・テキストとしての『六祖壇経』/無学な聖人としての恵能と禅の展開/その他の三組
 の出来事

第4章 機縁問答の謎―誰が、何を、いつ、どこで?
 「古典禅」と機縁問答/馬祖の悟りの物語/成文化された機縁問答の発生に至る八正道

第5章 禅と資金調達の法―宋代における宗教的活力と制度的独占
 反「なんでも禅」/中国史の中の禅仏教/体制乗っ取りの五つの要因

第6章 クライマックス・パラダイム―宋代禅における文化的両極性と自己修養の諸類型
 クライマックス•パラダイムとしての宋代禅/大慧宗杲の偉大な経歴/大慧の看話禅/「黙照」と
 12世紀の曹洞禅/仏教と新儒教の組み合わせのパターン/宋代天台における修行の「間主観
 性」/禅と中国の社会秩序/パラダイムの消去